6.レトロスペクティブ

2015年7月14日 (火)

追悼 岩田聡社長 未だ完結し得ないWiiの試み

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 任天堂の岩田聡社長が亡くなった。氏が天才的なプログラマーであること、若くしてHAL研究所の社長となり、経営を再建させたこと、そして山内 溥の後を継いで任天堂の社長となり、日本の家庭用ゲーム機市場にてwiiをヒットさせたこと、氏を評価する言葉はプログラマーとして、経営者としての側面など余りある。

 そのなかでずっと心にあるのは、ベタなのだがwiiの一連の試みだ。もしかしたら「カジュアルなゲーム機であった」ということで評価が落ち着いてしまっているのかも知れない。ゲーム人口拡大という美的な目標、そして一時的にその実現という実績で評価はおしまいになるのかもしれない。でもそうじゃない。

 任天堂社長に就任して以降の業績として、ハイライトとして語られることの多いDSとwiiのヒット。それは表向きのカジュアルなゲーム人口の拡大というテーマだけでなく、(もしかしたら、意図していないことかもしれないけど)ある意味ではビデオゲームというフレームやルールのリセットのなかで別の文脈へと繋げる可能性があったのではないかということだ。

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2014年3月14日 (金)

あなたは12年前のPS2のキャンペーン「RPGの世界を旅しよう!」キャンペーンに当選したでしょうか?

”RPGの起源はローマ。だからここ旅行しよう”ってこじつけすぎだろ!


  日本のRPGが気が付けば「JRPG」なんて言われ、その独自進歩したキッチュな面を拡大解釈されるようになったのはどのあたりからだろうか?


 いま歴史を振り返ったとして、日本のRPGってのがコンソール機の進歩に伴う映像の演出面から物語の構成の仕方などなどを含めた垂直進化を行えていたのは2001年の「ファイナルファンタジーX」くらいまで。


 映像やシナリオ主導による構成の対照としてRPGというジャンルとしてのメカニクスやルールを元にしたプレイヤーの技量やアイディアを生かす自由度の面ではオンラインというテーマが絡むことによって、シングルでのメカニックも変貌。その象徴としてオンラインRPGとなった「ファイナルファンタジー11」が出た2002年あたりから、かなりRPGの様相は変わってきた気がする。(コンソールでのオンラインRPG化はセガの「ファンタシースターオンライン」がもっと早いが)


 あなたは覚えているだろうか?2002年に数多くのRPGが様々なパブリッシャーからリリースされ、その販売促進としてソニーから該当するソフトを購入することでその作品のイメージに合わせた国へ旅行できるキャンペーンが展開された。「RPGの世界を旅しよう! キャンペーン」。半ば安易なこの企画だが、今振り返ると該当するソフトのそのほとんどが垂直進化と全く別な異様な方向へと向かっているのである。この異様さの中に、日本のRPGにいかにJが付く独自性が出たのか?ということを考察するってことで今回は懐かしきこのキャンペーンから提唱する、JRPGの2002年問題仮説。
 

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2013年12月 1日 (日)

「アウターワールド」は20年早いビデオゲームだった 「アンチャーテッド」を90年代にとっくに実現してた感さえある

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 発売当初ではあまりに逸脱したスタイルでありながらも、その特定のジャンルに回収されないかのようなアートスタイルとヴィジュアルによって数多くのゲームクリエイターから名前の挙げられることの多い「アウターワールド」

 最近になってios版をクリアしたんだが、遊んでいて痛感させられたのは「これはやること為すこと20年は早い」と全編にわたって思わされる出来であり、まさしく初代発売の1991年それからiosエディションリリースの2011年の期間そのままに後で効いてくる要素が全面に渡っているのだった。


 

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2013年8月31日 (土)

そういえば「鬼武者」シリーズはなぜ新作が出なくなったか?の2、3の邪推・スラッシュアクション仮説の歴史・余談

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 さてここのところの個人的リサーチ「スラッシュアクション仮説の歴史」シリーズまとめてる時に、そういえば「鬼武者」シリーズっていつの間にストップしちゃったんだろうなと思ってちょっと振り返ってみたら、これ今考えるとすげえ豪華だったんだなと気付かされる。



 いまでは中古屋でとんでもない安価がついちゃってるけど、当時のPS2への次世代機移行すぐの新作ってことで付加された多くの豪華さは未だに印象深い。グラフィックスから音楽に見るゲームプレイとカットシーンの出来る限りの結合による、俗に映画的進行や、数々の俳優やクリエイターを招くことで世間にも希求しながら当時としてはまだ未完成だったろうスラッシュアクションのメカニクスを武器にするという意味で、初期のPS2がもたらした光景として最も記憶に残っている。がしかし、そんなエポックを感じたシリーズが何故いつ停滞することになったのか?


 もうPS4だXBOX ONEだという時代に、日本製作の据え置きでのビデオゲームはmk2のアクションの欄を見ればわかるけど気が付けばスラッシュか無双にキャラ乗っけるだけみたいのに溢れてて貧乏くさくなっちゃった今と比較して、金も技術も覇権もまだ日本にあった12年前の豪華なスラッシュ代表シリーズ・レトロスペクティブ。なぜ今ブラウザゲームが新作と言うことになってるのかの邪推。

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2013年8月24日 (土)

デビルメイクライやベヨネッタはどこから来たのか?「スラッシュアクション」仮設の歴史・序章 発生と成立編

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_ここ何年かの日本のゲームの光景を作り上げたのはFFやMGSのムービーをたくさん使うストーリーテリングなんかじゃなくて、もしかしたら鬼武者やデビルメイクライ、真三国無双などのスラッシュと無双がなによりも大きかったんじゃないか?




・スラッシュアクション仮設の歴史 序章・誕生と発展編

・第2章・かつてのシリーズ復活とジャンル追従編

・第3章・独立系デベロッパーによるラジカルエクスプロイテーション編

・最終章・海外勢そしてプラチナゲームス、日本のゲームの光景の象徴編



 いつからこの流れが起きたのかの断層もそこまではっきりしてない上に、うんざりするくらい当たり前にこうしたゲームを目にするせいで、ずっと前からあったような気もするアクションゲームデザインがある。不思議なことにここまで多くリリースされ、長く目にしながら今だ明確なジャンルの名称や定義を聞いたことが無い。

 それは「デビルメイクライ」から今のプラチナゲームス「メタルギアライジング」などなど、PS2あたりから数多く見られるようになった、プレイヤーのボタンを押す入力から高速で出力されるキャラの斬撃でコンボを重ね、多数の敵を撃破していき高いスコアやランクを獲得していくあの手のアクションゲームの形態のことだ。あれは一体いつ生まれ、そして如何にして発展してきたのだろうか?




 便宜的にオレはこうしたアクションの総称を「スラッシュアクション」とここでは書いている。かなり長い期間このジャンルは続いていながらちょっとネットで調べたレベル(ゴメン最悪かも。)ながら業務用のSTGの発展と分岐、栄光と衰退の歴史のような記事は見ておらず、ファミ通や電撃などがもうとっくにやってることかもしれないのだが簡単に自分で調べたレベルでのこのジャンルの誕生と発展の仮設の歴史をまとめてみた。


 また、スラッシュアクションの光景はオレには昨今の「ファイナルファンタジー13」シリーズを含めての日本の家庭用コアゲームの平均的な「ゲームプレイの画面」の光景をこれらのゲームが象徴してみせているように思えてならない。少々無茶ではあるが2000年前後に発生してきたこのジャンルの歴史を探り直すテーマの裏として、日本のコンソール独特の光景なんじゃないか?ということに関しても言及してみたい。



 かなりオレの主観・経験に偏っており、不備がありまくると思われるので重要作で抜けているところや事実関係のおかしな部分、筆者がザルのため曖昧に表記されてるハードの機能の進歩による技術進化の側面などはコメントにてお願いしますと思いつつ、当たり前に存在するようになったこのジャンル発生の謎解き、もしくは死角からの2000年代以降の日本家庭用ビデオゲームの傾向を振り返るエントリシリーズ。

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2013年8月23日 (金)

「スラッシュアクション」仮設の歴史・第2章 復活と追従編 「忍者龍剣伝」から「ニンジャガイデン」へ、そしてコナミ「OZ-オズ」、フロムソフトウェア中心に推察されるロボットアクションとスラッシュ

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・スラッシュアクション仮設の歴史 序章・誕生と発展編



・第3章・独立系デベロッパーによるラジカルエクスプロイテーション編

・最終章・海外勢そしてプラチナゲームス、日本のゲームの光景の象徴編


 2D時代に地位を気付き上げて来ていた横スクロールアクションのシリーズも、90年代中・後期あたりのハードの能力から、最適な攻防の出来る3Dアクションを構築するメソッドが出来あがってなかったことあたりからおそらく一時停止してしまっていたものが多数あった。


 しかしハードの性能が上がり、このスラッシュアクションのメカニクス&デザインが「鬼武者」「デビルメイクライ」にてこうして定義されていったあたりから、ようやく3Dにて硬質かつ快楽的なアクションが実現可能となるやいなや冬眠から覚めるかのように数多くのシリーズがスラッシュアクションとして蘇ってくる。


 そして他のパブリッシャーもこのメカニクスを追従し、大抵はよく出来たコピーキャットである一方で突然変異的な作品を生み出しもするのだ。


 また本エントリの第2の文脈提示として「3Dロボットアクション」の90年代から2000年代の栄光と衰退に関してもスラッシュアクションの登場と比較しての仮説も含む、第2章。

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2013年8月22日 (木)

「スラッシュアクション」仮説の歴史・第3章 独立系デベロッパーによる「お姉チャンバラ」はじめB級ラジカルスラッシュエクスプロイテーション

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・スラッシュアクション仮設の歴史 序章・誕生と発展編

・第2章・かつてのシリーズ復活とジャンル追従編




・最終章・海外勢そしてプラチナゲームス、日本のゲームの光景の象徴編


 さて第一章の冒頭で「うんざりするほど」と思ったように、スラッシュアクションや無双タイプのアクションはメジャーなパブリッシャーだけでなく、周辺領域からも膨大にリリースされることも相まって、当たり前のように目にするようになる。


 なぜこれほどまでに作られるようになったのか?「鬼武者」「真・三国無双」のハイライトのメカニクスである、斬撃のコンボアクションでハードの処理能力に任せたザコ敵の大量配置を切り刻むってステージを作れば、ステージのデザインやバランス、攻防の深みに難があっても見た目や操作の快感でそれなりにゲームとして持たせられるからだろうか?

 このあたりの膨大化の疑問は独立系デベロッパーの作品らが感じさせてくれる。ということでスラッシュアクションが気にも留めないくらい当り前に量産され存在するようになった中で、独立系デベロッパーではスラッシュの基礎の上に、有名クリエイター参加や特殊ルールの追加、またアートディレクションや異化効果狙いから、シンプルにエロ・ゴア・バイオレンスに絞ると様々なバリエーションに彩られる。

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「スラッシュアクション」仮説の歴史・最終章 海外勢そしてプラチナゲームス、10年が作り上げた日本のゲームの光景

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・スラッシュアクション仮設の歴史 序章・誕生と発展編

・第2章・かつてのシリーズ復活とジャンル追従編

・第3章・独立系デベロッパーによるラジカルエクスプロイテーション編

 2000年代初頭以降、PS2を中心に膨大な数のスラッシュがメジャーも独立系も問わず生みだされてきた。

 その中でいよいよ海外からも向こうの土壌を元にしたクリエイティビティと融合したスラッシュが生まれたり、そしてこのジャンルを大きく前進させた「デビルメイクライ」を生んだスタッフたちを擁するプラチナゲームスの「ベヨネッタ」などが現代のスラッシュを見せる。

 しかしその一方で、PS3・XBOX360時代でのHD機の処理能力の増加による、俗に「没入感」と称される要素を上昇させる、リアリティある映像表現やアニメーションとプレイヤーの入出力を合わせたアクションゲーム表現の進歩が海外作品より多く出現するに伴い、そうした進歩面になかなか適応できない日本のビデオゲームは気がつけばスラッシュアクションの光景が端的に示してしまっているのではいないか?というアクロバティックな仮説を搭載した、スラッシュアクション仮設の歴史最終章。

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2013年7月13日 (土)

知られざる「ムーンライトシンドローム」続編「BLOOD+ One night kiss」感想&考察 凍結した日本郊外の光景: 「killer is dead」キラーイズデッド発売直前レトロスペクティブⅡ

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 「killer7」以降のグラスホッパー・マニファクチュア(以下GHM)須田剛一作品はそのゲームデザイン順序が逆転し、まずジャンルに沿った操作・ルール設定・成長曲線や蓄積&収集といったゲームメカニクスから先に構築し、そこから感情移入先としてキャラや世界設定、シナリオを乗せるというゲームクリエイションの正道になる。「ノーモアヒーローズ」よりアドベンチャーゲームでなく、「デビルメイクライ」のようなスラッシュアクション主体へと転換していく。

 しかし「ノーモアヒーローズ」で一つの完成に至るまでは、当時のインタビューなどからうかがい知れる恐ろしいまでの世間に流通しているゲームメカニクス構築のプライオリティの無さや技術蓄積の無さを見るに、そこに至るまでにはやはりスラッシュアクションの技術蓄積の期間としての作品が制作されていた。それがバンダイナムコゲームズよりリリースされた「サムライチャンプルー」と今回取り上げる「BLOOD+One night kiss」の2作であり、アニメのゲーム化ながらGHMの制作スタンスが裏返っていく過程そのものだからかアクションのゲームメカニクスをぎこちなく作り上げようとする妙味がさく裂している。


 特に「killer7」のグラフィックを引き継いだ「BLOOD+One night kiss」がオレにはもっともスタンスの裏返る中間あたりにある出来だと見え、正直グラスホッパーのアクションとアドベンチャーのミックスされたもので一番好きなんだけどネット見てて評価してるのはほぼ誰もいなかった(苦笑)。しかし今見直せば、実のところ本作はあの作品の続編でもあり、さらにはこれからリリースされる「killer is dead」にも繋がる要素が見られる後の作品を予見する部分が多々ある、過去と未来のGHM作品に意外に接触してる作品なのではないだろうか?

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2013年7月 6日 (土)

killer7 グラウンドゼロ 2001年9・11テロ後に壊れた現実の多層人格アドベンチャー考察

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 「~年代」という風にディケイドごとに分けて各時代を象徴したカルチャーから時代性を見ていくというやり方はオーソドックスなものだけれど、2000年代というのは何があったか?というのはなんとなくだが簡単にはみんな割り出せないような気がする。それを社会的な背景を反映したものに求めるのか、ネットの発達浸透以降の文化環境の激変を象徴するものに求めるのかで時代性を象徴したものというのは個々人で変わってくるとは思う。


 オレが2000年代の初頭から中盤あたりの気分や空気というのをビデオゲームにて思い返すときには、時代の中でシナリオ変更を余儀なくされた「MGS2」でも、オープンワールドというジャンルを決定付け、凍結したかのような街を見せた「GTAⅢ」でもなく、なによりも先に「killer7」が思い浮かんでくる。


 既にあの90年代も終結して時代の異質さというのも、コンソール界隈がPS2・ゲームキューブ・XBOX世代になりソフィスケートされて無くなってきていた中で、2005年当時のカプコンから発売されたサバイバルホラーの系列として「バイオハザード4」「デメント」とあった中で本作は「多層人格者の主人公となり七人の能力を使って交戦したり謎を解いていく」という宣伝文句であったが、正直3作の中でゲームメカニクスとしてはガラクタだ。しかし搭載されているグラフィックスからムービー、そして物語といったビデオゲームにおける表現の脱構築に次ぐ脱構築の果てに、あの時代の気配というものに意識的に絡んでいった作品はコンソール界隈では一つとしてなく、2000年代唯一孤高にして異形の最高傑作。ということで「killer is dead」発売前記念・グラスホッパーマニファクチュア代表作「killer7」そして2000年代初頭~中盤の気配に関して感想と考察。

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