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2014年10月30日 (木)

現代アドベンチャーゲームがさりげなく黄金期に突入している6つの兆候

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 アドベンチャーゲームはビデオゲーム表現の最先端に位置するジャンルであると信じて疑わない。そこには俗にいうゲームメカニクスと競技性というものが、他の多数の解法や修練を必要とするアクションやRPGなどのジャンルと比較して、おおよそパズルを解くなどの部分に極端に狭められている。いわゆるゲーム性と俗称されがちな部分が他ジャンルより低めに見積もられている。

 代わりにビデオゲームを構成する”プレイヤーとゲームの関係性”や”ゲームメカニクスで回収しきれない、ヴィジュアル、ストーリーテリング、コンセプチュアル、感情などなどの部分”といった、かつてのアクションだとかFPSだとか他ジャンルが後から導入していったものをいくつも先んじているゆえに、常にアドベンチャーゲームは地味ながら革新を行うジャンルと思うからだ。


 そのジャンルがここ最近活発な兆候がいくつかみられる。ある意味で未来の革新を始めている最中では?と思ってしまうくらい、今多彩なアドベンチャーが大小ともに具象抽象ともに揃っている。というわけで黄金期を感じさせる6つの兆候。

■コンソールはじめ展開される大作

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 やはり一番目立つ家庭用機をはじめ、DLサイトなどで展開されるビッグバジェットにあたる作品。決して数は多くないのだが、ロックスターの「LAノワール」、今年にはスクウェアエニックスから「マーダード」などが登場。XBOX ONEではレッドシーズプロファイルを作ったSWERYによる「D4: Dark Dreams Don't Die」などがリリースされている。

 そしてそろそろここでレビューエントリ上げると思うがウクライナのフロッグウェアによる「Sherlock holmes crime & panishment(シャーロックホームズ・罪と罰 多分日本でもPS4やXBOX ONEに来るのでは)」など、ホームズ主人公のゲームを多数制作しているチームがすげえ後味の歪なホームズ・ゲームをリリース。コンソール大作系だと規模ゆえにグラフィック表現の豪華さが目立つ一方、いささか革新性という側面は難があるけれども、ポイントで作品が出てると思う。

■クラウドファンディングやDLサイトによるクラシックの復活やニューカマーの登場

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 kickstarterを代表としたクラウドファンディングによって、休止していたり休止が危ぶまれていた過去のビッグタイトルが資金を集めることが可能になったためいくつかのタイトルが復活。


 今年はそうして資金を集めた名作シリーズが次々にリリースされた。常に伝説的な評価を受け続ける名作「グリム・ファンダンゴ」(日本的には「クーロンズゲート」とかのタイトルにあたる)を作ったティム・シェーファーによる新作「Broken Age」がリリース。そして「Broken sword」(日本的にはえーっと「神宮司」あたりで)シリーズの新作「The Serpent's Curse」もリリースされた。

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 今月には「the longest journey」シリーズの最新作「Dreamfall Chapters」がリリース。サイバーパンク世界とファンタジー世界を行き来する名作の新作までリリースされるなど、アドベンチャーゲームのクラシックのクリエイターや作品の新作が次々に出揃っている。

 クラウドファンディングはクラシックの続編の他に「Kentucky Route Zero」「God will be watching」といった野心的な新作もリリース。

 これらの作品で長編ストーリーのものはtalltele gamesの「the walking dead」のようなエピソード配信形式で制作されている構造となっている。

 また、PCやPS4、XBOX、WiiUなどでダウンロード販売という低コストでリリースが可能であり、ジャンルゲームではやりにくかっただろうテーマの作品もでかいパブリッシャーが手を付け始めてもいる。UBIによる「バリアントハート」などは世界大戦みたいに他ジャンルにて競技性や没入を高めるリアルに活用され続けたそれを、ウェットな視点によって描く。

■クラシック・リバイバル

 80年代から90年代にてポイント&クリックアドベンチャーで非常に高い評価を得ていたルーカルアーツやシエラ・オンラインの作品のああしたムードを再現・発展しようとするリバイバル的な仕事を行う作品も多数ある。

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 その中でも活発なのはwadjeteye games作品だ。「gemini rue」をはじめ、「Resonanse」といった往年のルーカスやシエラ的なグラフィックは無論のこと、そのコンセプトやストーリーテリング、ムードをはじめザッピング・マルチサイトのようなメカニクスの使い方などアドベンチャーの面白さというものにかなり忠実だろう作品を数多くリリースし続けている。

■スマートフォンというデバイスによる実験

 アドベンチャーゲームは人間と端末の関係を使った何らかの競技、ではなく関係そのものをフォーカスするとも思う。そのため、何らかの機器や端末の形ごとに合わせた表現というものが生まれると思う。

 カピバラゲームスの「スキタイのムスメ」はエレクトロニカ、今のピクセルアートスタイルから過去のゼルダの伝説などの引用から、音楽と共にインタラクションするスタイルに至るまで凄い文脈から掘り下げるデザインを

 スウェーデンのsimagoはスマートフォンアプリを中心に作品を発表しているが、このデバイスを意識、自覚的なアプローチを行う。「year walk」「DEVICE6」などなど

 スマホのフリックというデザインを仕掛け絵本と解釈した「TENGAMI」などもかなり自覚的な傾向がある。

 「Republique」はスマートフォンを通した監視や管理というものにアクセスするなどメディアとしての切り口をかなり意識したものになっている。

■モラル問題など、一本道で気を抜かせない切り口

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  「The Walking Dead」あたりで非常に活発になったのが善悪や答えの出ない問題にプレイヤーを立ち会わせる切り口のデザインである。それらはアドベンチャーの多くがリニア的であり、で、ゲームの解法もパズル的であるゆえの狭さというものもあるゆえだったり、そこまでのない分岐や選択というものに大きな意味を持たせようとするそれだ。

 「Sherlock holmes crime & panishment」は単純にホームズを操って犯人当てをしてしまえばよい、というものではなく、最終的な犯人に下す判定をも考えさせる瞬間を含め、単なる謎解きや犯人当てにとどまらないアプローチを取り、ホームズのイメージを変化させたものとなる。

■抽象空間表現・アート表現・物語表現

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 そして3D空間表現そのものの体験というものを追及する作品も多数登場。去年印象深かった「kairo」をはじめ、これもそろそろエントリやろうかとおもってる「FRACT OSC」はネオンライトとエレクトロニカが渦巻く、80年代的なデザインのモチーフを元に、空間と音楽にインタラクションする体験を追及する。

 有名FPSのMODというのは、後にダウンロード中軽量作品を豊かにしていったのだが、アドベンチャーゲームの発展をかなり促したと思う。Helf-life2のMODではは「Dear Esther」が新しい形の物語の探求2004年のFPS「farcry」のMODでスタートした「Nasisense」は異様に無機質な空間を疾走するものとなっている。

 また物語表現もある空間を歩き、探すことでそれぞれの因果が繋がり浮かび上がるという形式も少なくなくなった。ある一家が消え失せ、家の中を探索することで事態が発覚していく「gone home」、湖畔の集落で消えた少年の謎を解くため大自然の中を歩く「vanishing of ethan carter」などなどがでそろっている。

 

 

 

 

 広義にジャンルを捉えすぎているかもしれないがこんな感じで各所に特筆すべき作品の傾向が見えているために、とにかくアドベンチャーのジャンルはすげえアプローチのものが多数登場してる。やっぱビデオゲームとプレイヤーの関係において環境も体制もここのところ大きく変わったのがあるのか、気が付きゃすごく豊饒になっていっている。

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コメント

個人的にはアドベンチャーゲームは衰えにくいジャンルなので、相対的に他のFPSやスラッシュアクション、RPGに較べ勃興して見えるのだと思います。
と云うのも、技術革新に伴い開発費が鰻上りになる中、FPSは似た作品で溢れかえり、スラッシュアクションは開発者のセンスとゲームデザインが如実に反映し、RPGは2Dの見下ろしドット絵作品などでなければ、作りこめば作りこむ程、コストや開発期間が肥大化し続けます。
ポートピア殺人事件の精神的続編がドラゴンクエストであったり、マスエフェクトの様な超大作でもその大きな要素を占めていたのは、仲間達との会話によって状況が変化していくと云う、TPSやRPG的な要素よりアドベンチャー要素がクローズアップされていたり……ゲームの面白さの根幹は、その世界にプレイヤーが働き掛け変動する映像媒体とは全く異なる、ストーリードリヴンな点を人々は楽しんでいるからこそ廃れないのだと思います。
またアドベンチャーゲームの核となるのは、シナリオとそれに付随するグラフィックです。1980年のミステリーハウスの頃からそこは変わりませんし、インタラクティブに特化したスマートフォンと非常に相性が良いのだと思います。(スマホではアクションゲームの様なシビアな入力性は苦手ですしね……)
更に、ヴィジョンが明確で判りやすい為、kickstarter で資金集めをし易く、他のジャンルより低予算で壮大なスケールの物語を作れることが、インディーズや日本の美少女ゲームなんかをより活発にしてると睨んでいます。
(そういえばMGSの無線も、大佐にcallを飛ばす事によってステージ攻略を容易にしたり、その中でイベントを起こす事によって世界の広がりを見せていたり、無線を掛けるという選択肢がメッチャアドベンチャー的っすね)

ジャンルが固定されているからこそ、逆に広がりを見せ、垂直方向に進化を遂げつつあるアドベンチャーゲーム、これからも生暖かい目で見守りつつ、俺は英語の勉強に勤しみますよ…

※Daedalic Entertainmentの「Silence 」と
『BioShock』元開発陣の新作ADV『The Black Glove』に個人的には注目しています!

そんなに凄いんすかシャーロック!!
日本でローカライズされるならいいな

考えてみれば革新的なゲームってアドベンチャーに多いかも
せがれいじりとか鈴木爆発とかもアドベンチャーなのか

そして日本産最強のアドベンチャーゲーム「トリコ」が(震え声

> Peter Douglas Molyneuxさん

ピーターモリニューからコメントですか 次回作は萌えゲームお願いします

あー、技術革新でやっぱゲームの表現範囲は変わるので、
FPSでもアクションでもその規模のぶん、優れてるものはメカニクスごと変化するので
どれもこれも同じとは思ってないんですよ

クラウドファンディングもアドベンチャーに限ったわけではなく、
他のジャンルでも資金調達を実現してるのは多々ありますし、

あとねー、書きながらここが雑なことわかってたんですが、
アドベンチャーゲームって言葉が適用される範囲がやっぱ広すぎるため
実はジャンルはそこまで固定化されてはいないとこはあるんですよ。
だからジャンルそのものが黄金期っていうのもそぐわないところはあるんです。
コピーとしてでかいからいいやこれで!て感じですが

なので今回ちょっとずれてるとこはあるんですが、
しかし広いレベルで目立つ作品が揃っているため、今回の形です。

>saboonさん

そろそろクリアできるので
レビュー出ると思いますが、コンソール中心クラスでは
ぼくは近年で非常に気に入ってます。

ただ、気に入ってる部分は非常に渋みやクールな部分で
「逆転裁判」「ダンガンロンパ」的な
熱狂的なそれではないです。

「トリコ」もすっごい広義にいったらアドベンチャーに入りかねないすね
アドベンチャーゲームって言葉が適用される範囲がやっぱ広すぎるため、
今回でもかなり「え?これはどうかな」ってのはあるんですが
アクション系はちょっと外しました。

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