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2014年3月 2日 (日)

「インヘリテージ」感想と考察・日本カルチャーの影響の元に発生させたインドネシア神話の磁場

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 割と国際的な視座にあるジャンル映画などと別に、特に日本国内でかなり独自化されている漫画からアニメなどなどのジャンルで韓国や台湾といったアジア諸国にて製作された作品が日本に逆輸入されてくるタイプのものは妙に琴線にかかる。

 これは洋ゲーや欧米の漫画などのコンテクストの日本との誤差と別の、すごく日本独自的なドメスティックなジャンルを上手く扱いながら、アジアの国々のコンテクストが混ぜ込まれる構図でのアジアならではの微細な誤差を知りたいからかもしれない。かつてサンデーGXで連載されていた「新暗行御使」などなどやヤングキングで連載されてる「サンケンロック」などなど。いやこれは日韓共作ってことでいいか?


 インドネシアのデベロッパーによる「インヘリテージ」は日本の弾幕シューティングとノベルゲーム、魔法少女ネタのそれぞれの独自進歩して肥大化したジャンルを扱っている。ところがここに、あまり日本では馴染みのないインドネシアの土地と神話が混ぜ込まれることで独特の見知っているのに観たことのない感じが生まれるのだ。

 

 一見して「インヘリテージ」はキャラデザインからノベルまでの見た目のインドネシア的な誤差っていうのはそこまで感じない。ちょっと前からアニメブログネタスタートさせて、放映されている日本商業アニメざっと観るなんてことやったけど、それと比較してもかなり気を使った画風と、インドネシア神話をモチーフにしながらサイバー寄りというデザインは優れていると思う。この点に関して、昔の諸海外が日本のアニメ風味やる時にあったたどたどしさってのが無いことが凄い。向こうでもそのあたりのカルチャーがすごく浸透してる・理解されてるってことだから。

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 ノベルパートもほぼ全てにボイスが実装されている。ここで使われてるのは全て現地のインドネシア語で、このあたりもまた独特の未視感を強調させる。
 

 ただ弾幕シューティングとしての出来は決して高くはない。こればっかりはアニメのデザインやノベルのメソッドの馴染みかたと比較して、アーケードで運営されるシューティングゲーム制作経験の馴染みの無さを感じる。


 日本のケイブをはじめとしたシューティングと比較すると、敵撃破やスコアアップアイテム取得の効果音の弱さとか、ステージ構成の詰め方やテンポなどなどのたどたどしさはアーケードで人に100円払わせるストレスをクリアさせて、すぐさま効果音から映像、音楽とゲームプレイそれぞれの快楽をレスポンスさせる緊張感に欠けている。本作で唯一たどたどしいって意味での日本との誤差が肝心のシューティング部分となってる。


 それじゃ「インヘリテージ」の何が引っかかるのかというと、アニメもノベルもゲームのジャンルの中でフィクションやデザインを越えてその奥から透けて見える土壌だ。インドネシアという都市と地脈に合わせた神話の部分、オレとしてはここに最もウェイトがかかっている。


 

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  けっこうな魔法少女ネタであるのに、オランダとのインドネシア独立戦争という生々しい歴史背景が描かれる

  メインストーリーのインドネシア各地の都市を地脈を守護する闘いもさることながら、その裏の世界背景を記した膨大なデータベースで描かれていることは単に主人公たちの身長だとか性格だとか、そんなささいなことだけじゃない。元ネタとしての神話やインドネシアの各地域、そして歴史が綿密に記されているのを見て、何か単なる日本アニメ+ノベル+弾幕シューティングの再現ってレベルを超え、近代から現代にかけてのインドネシアの持つ磁場を垣間見るのだ。

 

 これがアジア諸国で生まれた極めて日本独自的なジャンルのものを逆輸入した時に見渡せる誤差の醍醐味と思う。アジアの他の中国から韓国、台湾と日本を比べるに、欧米の規律のような決定的なクリエィティビティの誤差がない分もっと細かい土壌的な、ドメスティックな誤差というのが今の時勢として一種のテーマでもあるとも思う。「インヘリテージ」はそうした今の日本とインドネシアの共通してる部分と誤差の部分を見通すことの出来るゲームとして印象深かった。

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インヘリテージはiosにて配信中

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コメント

lite版だけ遊んでみましたが想像以上でした。イラストだけでなくテキストや画面演出も日本のノベルゲームや少年漫画を強く思い出させてくれますね。そこに向こうの言語や文化が誤差として上手くマッチしていて魅かれます。他国の人がインドネシア文化をモチーフに作ったとしても生み出せない感覚的なものがあるのだとしたら、それを体感できるのは素敵な事ですね。

中国・韓国の人件費高騰により工場を東南アジアに移す企業が多いというニュースがよく流れていますが、同様の理由によりアニメーターやイラストレーターの外注も東南アジアに移っているという記事を読んだことがあります(簡単に調べたところ日本の背景イラスト会社美峰の支社がベトナムにありましたhttp://bit.ly/1bXrnUt)。

アニメ専門学校を作るという話もあるようですし、こういった日本エンタメっぽい海外作品が独学ですら無い場合もあるのかなと思いました。クールジャパンはすでに日本だけのものじゃないという事実です。

ただ日本国以外の人が自身の手で作ることで生まれる誤差は本当に面白いですよね。ノベルゲームの「かたわ少女」なんて大好きでした。

わりと韓国などでもノベルゲーム構造ってのは
少なくないところで浸透していて、iosのストア漁っていたら
オール韓国語のノベル作品なんてのもありました。
ちょっとやってみましたが、キャラの顔の表情でだけで読むのは
無理がありましたが 笑

アジア各国にアニメーションなど下請けに出している、というのも
それがどれくらいカルチャー浸透度に関係あるのかはわかってはいませんが、
この記事で書きそびれたのはインドネシアはじめ中国や韓国などで
現地のデベロッパーによるアーケードゲーム文化ってのはどうなんだろうな?ということです。
そのあたりがわかってないという。

インヘリテージのデベロッパーは
スマホなどのアプリゲームを多く製作してますので、
ダウンロード市場での作品の鍛え方はあると思うんですが、
アーケードでのシューティングの快感部分がいまいち掴みきれてないというか。
これは実際にアーケード市場でゲームを展開するという経験が薄いから?と
推測していますが…

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