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2013年7月

2013年7月22日 (月)

MGSVはGTAV程度には普通に圧勝できる・過去そして未来のオープンワールドデザインの考察

Mgsv

 

 さてツイッターを眺めているとこんな発言が流れてきた。

 なるほど今の日本のクリエイターの中では屈指の技術進歩の垂直方向へのビデオゲームへのクリエイティビティを持つ氏らしく、特に諸海外のトップレベルの作品と張り合っていこうとしている意見を普段から発しているし、このように高度なゲームデザインには賛辞を贈る。


 特に「MGSV」は売りに「オープンワールド化」を置いており、そのジャンルのキングである「GTAV」に対してこのツイートであるからちょっとした話題になったけど、しかしこうは言っていてもオレはというと「GTAV」「MGSV」断然勝てると見てる。

 もちろんIPの売り上げうんぬんなんてことじゃなく、それはオープンワールドというものとゲームデザインの関係ってことなんだけど、ポイントはハナからオープンワールドというメカニクスの上に、アクションからシューティング、カーレースといった他ジャンルのメカニクスを乗っけてきた「GTA」シリーズのデザインと、ステルスアクションという明確なジャンルのゲームデザインをハードの時代と環境に合わせて進歩させる上で遂にオープンワールド化にまで接触した「MGS」シリーズの比較によって浮かび上がる今のビデオゲームにおけるオープンワールドの変貌ということだ。


 その考察と並行しつつ、何を持って、どの点において「MGSV」「GTAV」に断然勝つと言っているのか?の結論に関してのエントリ。

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2013年7月13日 (土)

知られざる「ムーンライトシンドローム」続編「BLOOD+ One night kiss」感想&考察 凍結した日本郊外の光景: 「killer is dead」キラーイズデッド発売直前レトロスペクティブⅡ

Bon3

 「killer7」以降のグラスホッパー・マニファクチュア(以下GHM)須田剛一作品はそのゲームデザイン順序が逆転し、まずジャンルに沿った操作・ルール設定・成長曲線や蓄積&収集といったゲームメカニクスから先に構築し、そこから感情移入先としてキャラや世界設定、シナリオを乗せるというゲームクリエイションの正道になる。「ノーモアヒーローズ」よりアドベンチャーゲームでなく、「デビルメイクライ」のようなスラッシュアクション主体へと転換していく。

 しかし「ノーモアヒーローズ」で一つの完成に至るまでは、当時のインタビューなどからうかがい知れる恐ろしいまでの世間に流通しているゲームメカニクス構築のプライオリティの無さや技術蓄積の無さを見るに、そこに至るまでにはやはりスラッシュアクションの技術蓄積の期間としての作品が制作されていた。それがバンダイナムコゲームズよりリリースされた「サムライチャンプルー」と今回取り上げる「BLOOD+One night kiss」の2作であり、アニメのゲーム化ながらGHMの制作スタンスが裏返っていく過程そのものだからかアクションのゲームメカニクスをぎこちなく作り上げようとする妙味がさく裂している。


 特に「killer7」のグラフィックを引き継いだ「BLOOD+One night kiss」がオレにはもっともスタンスの裏返る中間あたりにある出来だと見え、正直グラスホッパーのアクションとアドベンチャーのミックスされたもので一番好きなんだけどネット見てて評価してるのはほぼ誰もいなかった(苦笑)。しかし今見直せば、実のところ本作はあの作品の続編でもあり、さらにはこれからリリースされる「killer is dead」にも繋がる要素が見られる後の作品を予見する部分が多々ある、過去と未来のGHM作品に意外に接触してる作品なのではないだろうか?

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2013年7月 6日 (土)

killer7 グラウンドゼロ 2001年9・11テロ後に壊れた現実の多層人格アドベンチャー考察

Killer7still

 「~年代」という風にディケイドごとに分けて各時代を象徴したカルチャーから時代性を見ていくというやり方はオーソドックスなものだけれど、2000年代というのは何があったか?というのはなんとなくだが簡単にはみんな割り出せないような気がする。それを社会的な背景を反映したものに求めるのか、ネットの発達浸透以降の文化環境の激変を象徴するものに求めるのかで時代性を象徴したものというのは個々人で変わってくるとは思う。


 オレが2000年代の初頭から中盤あたりの気分や空気というのをビデオゲームにて思い返すときには、時代の中でシナリオ変更を余儀なくされた「MGS2」でも、オープンワールドというジャンルを決定付け、凍結したかのような街を見せた「GTAⅢ」でもなく、なによりも先に「killer7」が思い浮かんでくる。


 既にあの90年代も終結して時代の異質さというのも、コンソール界隈がPS2・ゲームキューブ・XBOX世代になりソフィスケートされて無くなってきていた中で、2005年当時のカプコンから発売されたサバイバルホラーの系列として「バイオハザード4」「デメント」とあった中で本作は「多層人格者の主人公となり七人の能力を使って交戦したり謎を解いていく」という宣伝文句であったが、正直3作の中でゲームメカニクスとしてはガラクタだ。しかし搭載されているグラフィックスからムービー、そして物語といったビデオゲームにおける表現の脱構築に次ぐ脱構築の果てに、あの時代の気配というものに意識的に絡んでいった作品はコンソール界隈では一つとしてなく、2000年代唯一孤高にして異形の最高傑作。ということで「killer is dead」発売前記念・グラスホッパーマニファクチュア代表作「killer7」そして2000年代初頭~中盤の気配に関して感想と考察。

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2013年7月 2日 (火)

SFとノワール、そしてアドベンチャーゲームの三つのジャンルが交錯する時、世界と存在が見立てられる:「GEMINI RUE」感想と考察・

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 SFとノワール(ハードボイルド)というこの二つのジャンル、それは掘り下げて行くと物語の本質として似通うポイントが存在し、近年ではその混ざり合うポイントを意識的に表現にした派生ジャンルとして「ネオ・ノワール」「サイファイ・ノワール」なんてカテゴライズされる作品が出て来ている。


 今回の「GEMINI RUE」というのは決して豪華でも膨大なボリュームのあるものではないし、「LAノワール」だとか「ヘビーレイン」に比べれはB級映画の世界だ。だが、まさにハードボイルドとSFの密接に混ざり合うポイントによって表現された作品なのである。だがしかし、それは単なる二つのジャンルの薄っぺらな表層だけを手触りとして繋ぎ合わせただけではなく、このジャンルの奥底にある、コアのところに触れた出来なのだ。 さらにいうならば第三の視座にアドベンチャーということさえ含めればそのコアの部分というのはより明確にプレイヤーに提示されるのだ。

 ということで本作の感想と考察を交えながらのSF・ノワール・アドベンチャー三つの視座がクロスした先にある、物語の核についての話。

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