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2013年5月19日 (日)

現代アドベンチャーゲーム研究・生存編・もしも「神宮寺三郎」の新作や「クロス探偵物語」の完結編が製作されるためにクラウドファンディングにて出資を募うならばADVファンは手を貸す準備をするだろうか?

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アドベンチャー、クラウドファンディング、ダウンロード市場

   ~現代アドベンチャーゲーム生存研究~

 ネットで簡単にシューティングゲームや格闘ゲームといったジャンルの栄光と衰退はどのような立場や場所であれシリアスに、それこそこのジャンルらしく瞬発的に議論されるのだが、アドベンチャーゲーム(以下ADV)というジャンルの栄光と衰退に関してもそのシリアスさの度合いに差は無いと思うがその声はさして大きくなく数が少ない。それでもこのビデオゲームの物語と表現に強く関わるジャンルらしく熟考的になされることが多い。

 さてADVの栄光と衰退、それから再生を考えるに、まず日本のコンシューマーでのADVの現状はやはりダイレクトな市場の結果が要求され、数少ないシリーズばかりしか生き残ることを許されず、セールスや成長規模の結果ゆえに出資が得られず続編を期待されていたシリーズが停止していることも少なくない。


 それは海外であっても例外ないところであるのだが、ところが向こうではパッケージが制約を受ける小売や流通といったリスクを外せるPCやタブレットによるダウンロード市場の活況や、製作資金を工面するために不特定多数から出資を募るウェブサービス「クラウドファンディング」にて有名シリーズや新規タイトルの製作資金を調達しているケースを見ることが少なくない。

 あくまでまだ情報が集まり切っていないオレ自身の印象論程度で恐縮なのだが、マスに向けた市場での勝利は遠ざかっても、コアによる追いかけは未だ強い海外のアドベンチャーゲームが継続または誕生に当たって、コアファン自体が続編や新作を見たくて出資するというクラウドファンディングの重要性は増しているのではないか?と見ている。


 ではこれが日本に置き換えるならば、たとえば「クロス探偵物語」の製作者が完結編を出す為に腰を上げたとして、クラウドで出資を募り、コアファンたちが製作費を支援するということは起こり得るのだろうか?

▼今のアドベンチャーゲームの状況の簡単な感想

 現代の日本のコンシューマー市場に限定してこのジャンルを見てしまうとそれは確かに衰退が感じられ、ニンテンドーDSブームの中で一時的に発表作品数が増加していたのも今は昔であり、ADVの基本的な選択肢を選ぶフラグ立ての構成ながら裁判という対決構図で、選択を間違えればゲームオーバーという勝ち負けの要素を強く持たせ、推理に緊張感を与えている「逆転裁判」か、多湖輝の「頭の体操」にフランスのアニメ「ベルヴィル・ランデブー」あたりをドグマにして、レベルファイブのRPG構成技術を互換してリッチなヴィジュアルでデコレートした「レイトン教授」が生き残って、5bpと前線とする「シュタインズゲート」などのノベルゲームタイプが上手いこと男女問わずのオタク・エクスプロイテーション(搾取の意味)を続けている、といった状況と見える。


 北米ではAAAタイトルに「ヘビーレイン」「LAノワール」などのリリースが目立っていたが、しかし海外であってもそれはごくごくわずかなケースであり、やはり英語圏でのアドベンチャーというのも、ADVGAMER様によるスペインのADV・「RUNAWAY」評にて「本場であったはずの英語圏の国々でのADVの人気は、今ではすっかり衰退してしまいました。代わって、非英語圏の国で開発された作品が増えてきました。そして、それらが英語化されるというケースが増えてきたのです。即ち、最初に発売されるのはフランス語版だったり、ドイツ語版だったり、スペイン語版だったりで、英語版は後回しにされるようになったんです」とあるらしく、やはりマスの市場にて覇権を取っていくジャンルとは言いにくい模様のようだ。




 しかし、現在のアドベンチャーゲームはフルプライスによるソフト販売よりも、steam、GOGを始めとしたDLサイトからios、GooglePlayといったプラットフォームによるスマートフォンをはじめとしたダウンロード販売というラインにて一定の活況があると見える。(なのでアドベンチャー研究と称しながらジャンルの継続を求めて市場を見るというゴミ屑以下の倒錯したブログやってる人はもう少し殊勝な態度を得るためにこちらの方にも注目すべきだろう。)


 Telltale gamesによるアメリカ有名ドラマのゲーム化でありながらオリジナルの展開を見せた「The walking dead」のヒットによってCEOがジャンルの復活の発言をしていることや同作のヒットとその周辺状況からIGNが「偉大なジャンルの復活」というコラムを寄せるなど、図らずもコンシューマーの衰退傾向が見られ、PCとスマホ・タブレット端末でのダウンロードという形に比重がかかっていることで、元々のADVの伝統的な操作の特徴であるポイント&クリックに適した操作体系に回帰する形ともなって「復活」が語られているのだ。


▼クラウドファンディングとADV



 さてADVがダウンロードのデータ商売寄りになったことで、クラウドファンディングというのが重要性を増しているのでは?と見えるポイントはここだ。AGM BLOG様のIs Kickstarter just a hype? (PART2) によれば「デジタルであることのメリット」として「デジタルコンテンツは還元すればクリエイティブなデジタルデータであり、それを売買するというのは、物体に金を費やすことではなく、個人や手段のクリエイティビティに金を費やすことである。さらにデジタルコンテンツには在庫リスクが少ない。せいぜいサーバー運用費くらいだ。アップデートのコストも圧倒的に低く、リリース後に品質を向上させることは容易である。 」ということから「インターネットを通して個人や集団のクリエイティビティに対して直接資本を投下して、デジタルなデータを得る。ほぼオンライン上のデータのやりとりだけで完結するビットのクラウドファンディングは、デジタル時代のコンテンツ産業の究極形態のひとつだろう」としている。


 まずクラウドファンディングというのを簡単に書いておく必要があるだろう。リンク先のWIKIを開けば話は早いが、現状のビジネスのシステムでは回らないプロジェクトに不特定多数の人間が提供サイトを通じて出資することで実現可能にするための資金集めというものだ。


 現在様々なクラウドファンディングを提供するサイトがあるが、ビデオゲーム界隈で主流となっているサイトは米国のKickstarterだ。既定の期間までに設定した目標額を集めることができればまずは製作資金の調達の成功であり、目標額に達しなければ資金を得られない。なので製作者は目標額を集めるために様々なプロモーションを行うわけで、出資額に応じて製作サイドから例えばα版の体験の権利から設定資料の閲覧が可能になったりするなどのリターンを設定する、というのが大まかな形となる。


 このKickstarterにはそうそうたる海外のADVのシリーズが新作を製作するために名を連ねており、それは「Broken Sword」の新作the Serpent's Curse Adventure」から「The longest jouney」の新作Dreamfall Chapters」、「Gabriel Knight」シリーズの作者ジェーン・ジェンセンによる新作Moebiusなどから、歴代5位の出資額を得たと言う完全新作「Broken age」などなどが資金調達を成功させているのである。あんまり名前にピンとこないなら日本のコンシューマーに例えるなら「街」「428」「クーロンズゲート」あたりが続編を作るためにクラウドファンディングで資金を調達しに来て成功させたと考えたらいい(ごめんあんまり適切じゃないかも)。

 

 というわけで以上のようにADVはPC・スマホ・タブレットを介したダウンロード販売時代&ジャンルに適したインターフェースに回帰した形になり、そしてデジタルコンテンツで完結するゆえに小売や流通と言ったソフト販売管理のリスクを外すことができる面でのクラウドファンディングでの資金調達の有効といった部分から活況が生まれているのではないだろうか?(もちろん、クラウドファンディングが成功を伝えるのは資金の調達までであり、ゲームのプレイヤーとしての最終的な目的は無事に完成を待つことにあるが。)


 そしてこうしたサイクルを遠目に見ながら、もしこうした流れが日本にも根付くことが出来たならば、失われしADVの流れと言うのは、日本市場でもあるいは復興することはあるのか?と考える。

▼日本のゲームのダウンロード市場・クラウドファンディングは―

 

 ダウンロード市場ということを考えてみても、日本のダウンロード販売というのはPCにて大きくやり取りするかというよりも、コンシューマーでの任天堂やソニーといったプラットフォームにて行われている最中という模様。それでも「風の旅ビト」などの野心的な作品がリリースされるなどの土壌となっているようだ。スマートフォンでのDL市場というのもプロからインディーまで玉石混合の様相を示している。

 そして日本ではまだまだクラウドファンディングが一般的ではなく、日本のインディーズゲーム「九十九神」の海外へのローカライズの費用として、海外クラウドサイト・indiesgogoでの資金調達の成功Game sparkにて大きくインタビューされるなど「どのような形になるのか?」という公式を見定めている最中のようだ。


 日本国内では飯田和敏らの新作「モンケン」が日本最大ののクラウドファンディングサイトCAMPFIREにて出資を募っている最中であり、こう一般の不特定多数の出資者、ドメスティックに言えばコアゲーマーが新作を遊びたくて出資という形が一体どんなふうになるのかも分からない。


 フルプライスでのパッケージ市場におけるADVというのは近年それは苦しくなったことで、期待を寄せていたシリーズがいくつも停止していくというのを見てきた。それは海外だろうと変わらない。


 しかし向こうでは完全にデータコンテンツとしてシフトしたことでダウンロード市場と名のあるタイトルのクラウドファンディングでの資金調達の成功という形にて、高い評価を受けてきたタイトルがシリーズの新作を作ることを継続できているのを見るにつれ、これが日本であったなら例えば「神宮寺三郎」シリーズの新作、「クロス探偵物語」の完結編だとかをコアファンが出資して支援という、ある意味ではニッチなジャンルにコアなファンが着いて助けるというこのジャンルのサイクルとしては理想的な形であるとも感じられる。


 正直な自分の感想はと言うと、日本におけるクラウドファンディングの成否云々というよりも、今回はADVの現代での生き残り方と復興と可能性ってことでダウンロード市場とクラウドによるデータコンテンツ化に振り切る形で続きを見れないかなということを考えたわけで、もしも「神宮寺三郎」が新作を作るためにCANPFIREにて出資を募る、なんて未来が来たとしたらそれはちょっとしたジャンル復興の足掛かりにはなるんじゃないだろうか。とりあえず主要イラストを寺田克也氏に戻して新作ということになったならば、オレは出資する準備をする。


 
 

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