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2013年3月14日 (木)

”音”から全てが始まる「Finding Teddy」感想と考察・iosアドベンチャーゲーム研究

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 少女が夢の中の淡さと残酷さにまみれた幻想の世界へ行く「Finding Teddy」

 ある夜、お気に入りのテディベアと一緒に眠っていた少女に、クローゼットから突然長いクモの足が出て来てテディベアを奪い取ってしまう。それに気づいた少女は目を覚まし、クローゼットの奥に広がる幻想ととも夢ともつかない世界へと奪われたテディベアを探しに行くポイント&クリックアドベンチャーだ。

 そのピクセルで描かれたグラフィックから「スキタイのムスメ」との比較が一部海外サイトのレビューでも見られるのだが、トータルな完成度から言えば「Findikg Teddy」は荒いところが目立つし、よりシンプルなポイント&クリックの形式である。だがしかし、この作品は停滞しつつあるアドベンチャーの「ゲームのルール」というものを美しくリメイクし得る可能性を秘めているんじゃないか?と感じられる仕掛けが施されており、その部分がひとつ突破口になるのではないかと思った。


 基本的には「何らかのキーとなるアイテムを見つける⇒何らかのロックと思われる場所で使用する」ことと「何らかの提示されるパズルを解く」ことでゲームを進めていくオーソドックスなアドベンチャーゲームの「ルール」となっている。


 しかし、このゲームの「何らかの提示されるパズルを解く」点、ここが本作の特徴で、それはによって解き明かしていくものなのだ。森の中にいるカエルの歌声などをヒントに音を聴き取り、ポイントになる場所で五線譜のような画面で音を出すコマンドを使ってパズルを解いていくのである。

 アドベンチャーにおけるパズルのデザインとしてそれは「ゼルダの伝説 時のオカリナ」を挙げても決して珍しいファクターじゃあないだろうが、このゲームで面白いのはその音を使った謎解きが、ゲームを進める途中から別の意味へと変貌していくことなのだ。その転換がある種のジャンルの先祖がえりとも見える点で非常にスリリング。それは何か?

 

 ということで、ここからはネタばらしになってしまうのでまずリンクをこちらで。

 

Finding Teddy 体験版

 

Finding Teddy 本編 

  ちなみに体験版もあるがそこから本編をアンロックしてしまうと「アプリを削除して再度インストールすると、アンロックされていないことになり、再び購入する必要があります。」という話が出ているので手間になるが体験版で気に入ったらストアから本編を購入することを推奨。

クリアしたか?詰まったか?ということである程度まで進んだらならある意味攻略要素付きの本文続きです。

 

 

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 カエルなどの動物たちが歌声を上げると同時に、奇怪な記号が浮かぶ。始めのころは一体なんなのかも分からず、音楽に疎くて音符取りが苦手な人のための補助なのかどうかと思ったのだが、謎を解くにつれ五線譜のコマンドの音に記号が対応してくる中で、この記号がアルファベットであるということがわかってくるのだ。


 
 

 そうするとこのアドベンチャーというのが途中から「音を奏でる」ではなく、ある種、初期の直接行動のコマンドをキーボードで単語を打ち込んでいたPCアドベンチャーに非常に近い「言葉を打ち込んで話す」ものへと転換し、後半には言葉を打ち込んでいく謎解きへと変わる。そこがこのゲームの周到なところで、またお話とプレイヤーの感覚を一致させる仕掛けだ。


 やっぱ物語の進行のラインはある種の成長ってのは王道のテーマであって、全く分からない世界で”音”の謎解きから始まってゲームを進めるうちにそれが言葉であることに気付き、そして言葉を話せるようになっていくっていうのは、この絵本のようなゲームの落とし所としてはとても綺麗なものだと感じられる。

 最初はこのゲームはフリーゲームの「ゆめにっき」にちょっと似てるかなと思っていたが、クリアまでやってみたら同じ少女のこころを通して見た世界といっても結果は真逆だった。「ゆめにっき」は2Dでピクセルで「アクアノートの休日」などのアンビエント・ゲーム(こんなジャンル名は公式にないが、便宜的なものとして。)を実現した傑作だが、基本あれは少女でひきこもり(に見える)で憂鬱で一応のラストもあんなのという、全く成長のないままでワンピースとかが大嫌いな人が好むスキゾイドな要素に満ちた作品だったのに対し、「Findikg Teddy」は一つのイニシエーション的で、幻想の中の残酷な世界を見ながらも本当に美しい結末を見せる。

 そして最後の最後に流れる音の意味を、クリアまで来たプレイヤーなら分かるだろうし、そこがまた美しいと思うのと共に、”音を奏でる”というファクターから”言葉を打ち込む”というジャンルの先祖がえりを見せる点でとても興味深い作品だった。このコンセプトによってまた一つ何か発展できるんじゃねえの?という気がしているのだがどうだろうか。

 


 

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