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2013年1月28日 (月)

2013年コンシューマーゲーム中心時代終わりの始まりの奇跡を待つ「bioshock infinite」・「The Last of Us」・「KILLER IS DEAD」など5本のアクションアドベンチャー

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 さて既に大手メディアなどで高い期待をよせられている作品群のなかで、特に気にかかる5本の作品への期待と展望。細かい部分のジャンルは違うかもしれないが、全部基本的にはアクションアドベンチャーです。

 その期待の元とは極めて単純化するにゲームシステム・レベルデザインの面白さ(アクション)と描かれる物語と表現(アドベンチャー)の現代的な融合と発展。ここで取り上げる作品は発展に関して同じテーマを踏んでいたり、ジャンルの構造に関わることを予感させたりするのが特に強い意味で共通しております。

コンシューマーゲーム機の世代の終わりには名作が生まれやすい、とはゲーム史の事実でありますが、ここで期待する5本はもうそもそものコンシューマーというもの自体が終わりに来ている中での集大成かつ奇跡的傑作になるだろうポテンシャルが見える作品ばかりであります

「バイオショック・インフィニティ」

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 「バイオショック」はゲームバランスにほんの少し難がありながらも(死亡してからのレスポンスやリスクがそこまででもないので割とゴリ押しでも進めてしまうところとか)FPSでのアクションアドベンチャーとしてシナリオからレベルデザインに至るまでの完成度からいって今世代機の最高傑作の一つといって間違いないだろう。

 さて今作はFPSでありながら主人公が喋るし公開されているムービーでも自分の顔を水面に映すようなシーン(公式のゲーム始めて5分間の動画だがネタバレ注意)もあり、明確に第三者としてのキャラクター・探偵ブッカーを主人公として動かすということで、第一作のような主人公=プレイヤーで体験する物事は全て自分、という構図と別にしている。

 

 その三人称的に物語を追う構図を深めるヒロインとして空間を捻じ曲げて物体を生み出す能力を持つヒロイン・エリザベスとともに空中都市コロンビアを探索するという内容は、本当に舞台が深海から天空に変わった如く表向きの物語の構造もドラクエ(主人公喋んない)からFF(主人公が8あたりからうざい)に変わるくらいに転換させているように映る。

 なので今回の作品は第三者的な構造の中で第三者的にヒロイン・エリザベスの謎を解いていくことが主旋律になるのだろうと思われ、初代作でも一本道のアクションアドベンチャーの構造をともかく意識した作りにしていたこのシリーズのそのトータルのゲームシステム、世界観もさることながら、ビデオゲーム上での構造を意識した作劇のの巧妙さも注目したい。特に面白いビデオゲームのストーリーっておおよそ構造を逆転して使ってるものだから。

「トゥームレイダー」

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 今の「アンチャーテッド」から上田文人作品の「ICO」「ワンダと巨像」などの「インディ・ジョーンズ」ライクな3Dアクションアドベンチャースタイルの大御所「トゥームレイダー」シリーズだが、その割にはシリーズを重ねるごとに進化していきジャンルを牽引していくことにある時点から躓き、迷走しているうちに以上の影響が見える作品に革新性の面で置いて行かれジャンルへの影響力を失っていった印象が強い。

 今回のリビルドに関してはすでに「アンチャーテッドのようだ」と比較されているように、一気に突き放されていたトレンドを埋め直した感じを突っ込まれやすいのだけど、一気に上昇したリアルタイムのグラフィックの質を見るにやっぱ「ゲームはグラフィックじゃない」というのをよくファンの言葉で聞くけどそれが欺瞞であるよなということを思わされ(ファストフード店のアンケートで「もっとヘルシーなメニューを」という要望があるがそれをやっても売れないという話に似ていますね。)、現代アクションゲームはありとあらゆる側面をよりゲームに没入させるように洗練させているわけで、最近の海外パブリッシャーのなにより優れた点は映画の演出法をドグマに真にグラフィックを生かしたゲームへの没入を実現出来ていることにある。「シェンムー」が実現しようとしていた未来だよ!

 シェンムー繋がりでいえばこの作品もQTEが実装されており、近年のQTEの仕様への評判の悪さから出来を危惧する部分になっているが、公開されている1時間ゲームプレイを見るに狼に突然襲われてる所はちょっとヤバいかもと思ったが、QTEはシーンを演出するためのモーションやゲームへの没入から離れているムービーシーンの垂れ流しを正当化するかのような仕様で、没入感を持たせるようでその実言い訳になっているのが問題であって、わずかなスペクタクルのシーンで、タイミング良く押すボタンも武器攻撃やジャンプなどのアクションボタンとの乖離などなどの没入が削ぐ部分を押さえていけば問題は無いと思う。

 「アンチャーテッド」との差別化ということで、サバイバル要素・オープンワールド(ゼルダの伝説的なものになるのかな?)などの仕様を採用しているということだが、正道の進化の方面をアンチャにやられちゃったせいで元祖なのに対抗馬がやるような姿勢となっており、ある意味マリオが負けてソニックが覇権を取った世界でマリオがソニックの真似しつつ花をとったら火の玉を出せるよう差別化しているかのような・・・それはただの通常営業である。

 

「The Last of us」

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 そして現在アクション・アドベンチャーの最前線を「アンチャーテッド」シリーズによって牽引するノーティドッグの新作「the last of us」。。ざーっと発表されているトレーラーやインタビューを見るにアンチャーテッドのメソッドを踏襲しつつ、「バイオショック・インフィニティ」同様ヒロインのAIの描写の仕方などなどが見所になりそうだ。

 この作品ももう映画とゲームでそれこそ感染増殖しすぎてうんざりするくらいあるゾンビ・パンデミックの世界観であるが、いまのところほとんどのゲームが実現し切れてない点がある(少なくともオレには)。それは原点の映画ジョージ・ロメロの「ゾンビ」や、ダニー・ボイルの「28日後・・・」のような、人間の世界が終わって街全体が廃墟になったような淡さやショッピングモールに群がるゾンビといった構図などの詩的かつ象徴的な暗喩で、それが意外にどこもできていない。なにせロメロの「ゾンビ」をかなりのところ踏襲したはずである「デッドライジング」などはショッピングモールで女装しながらゾンビに馬の被り物させまくってプロレス技でゾンビを殺しながら写真を撮りまくるなどという世界の終わりの淡さなどとは一切無縁のゲーム感覚である。人間が一番怖い!

 

 そこでの今作はというと、ヒロイン・エリーとの関係と冒険が物語の主旋律として機能し、それを通した世界観となっているかに見え、やっとゾンビゲームにおける「28日後・・・」のようなゾンビ映画というもののある側面である情緒的な部分というのを描いている点に注目している。

 そしてそれは先の「バイオショック インフィニティ」とも共通するのだが、細かいAIの設定をされたヒロインとの冒険を主とするあたりのギミックや物語の変化の仕方なども気になる。またビデオゲームにおける女性の描写って意味では「トゥームレイダー」にも共通しており、それぞれのインタビューなどを読んでいても非常にセンシティブに掘り下げようとしており、海外作品の傾向を俗に言えば頭まっさらで撃ち合い上等の思想的にも肉体的にもマッチョな軍事FPS・TPS全盛な中ではとても繊細な方面へのアプローチをしている点であり、出てくる女性もまさにマッチョ思想らしくセックスしたりできるのも少なくないがそれがシュワルツネッガーのような顔の女性キャラも少なくない。

 ゲームにおける女性キャラの描写には主役級としてゲームシステム的にも物語的にも関わる形でステロタイプになり過ぎていたビデオゲームでの描写への修正や進歩という意味合いがこの3作は強いのだと思うが、面白いことにそれはそれで3作のヒロイン全員けっこうな所日本人好みのラインに入っていなくもない(まーオレには)ということで、コンテクストに敏感な海外らしくジェンダーの部分の背景も掘り下げて作るのだがその姿勢によって日本の俗な「萌え」に繋がったりすると皮肉だ。

「Watch dogs」

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 一番期待しているが一番「地雷になるかゲームオブジイヤーになるか」のふり幅が大きいだろうポスト・オープンワールドゲーム。GTAタイプのオープンワールドのネクストを作れるのは結局GTAしかないのでは、とスラッシュアクション方面に寄った「prototype」やアドベンチャーの「LAノワール」の中途半端さと「GTAⅤ」で発表されているトレーラーの盤石な期待から思わされる中で、「Watch dogs」は発表されてる内容から想像するに「街(オープンワールド)のシステムを操作する」というGTA型のオープンワールドのシステムを逆転した形で使うことを期待しているのだが、ただ信号を止めるだけ・停電させるだけとかで後は銃撃戦で間を持たせるみたいなGTAに中途半端な新要素がくっついてるだけというものになってもおかしくは無い。

 とはいえUBIの秘蔵っ子として情報をとにかく流出しないようにし去年のE3にサプライズとして登場させるほどの厳密な扱いをしているのを見るに勝負のタイトルで製作に確信があるものだと思うので期待している。

 UBIと言えばオープンワールドの代表作に「アサシンクリード」シリーズがあるが、あの作品でやっぱり奇怪と言えば奇怪なのはあの現代のテクノロジーで、マトリックス的に過去の世界を見せているみたいな設定であのオープンワールドで徐々に行ける範囲を広げていくのを「まだ遺伝子記憶が戻っていない」というような、いささかメタフィクション的な切り口をとっていたのが印象深かったが「あれは本当に必要なのか?」と思わされながらも、一応シリーズを継続させるための物語の仕様と言えそうだが、製作側にそういうビデオゲームの構造を切り取ろうとする意識があるのだと見え、個人的に「watch dogs」で期待しているのはそこんところになる。「GTA5」がオープンワールドの進化のネクストを期待されるならば、こちらはオープンワールドの表現や構造といった部分のネクストに期待するのだ。

「キラーイズデッド」

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 第一弾トレーラーと登場人物を見るに、これはグラスホッパーマニファクチュア須田剛一の代表作の要素をコラージュした豪華な自己模倣、良く言えばここ10年の集大成の気配がある。

 タイトルと発表されたトレーラー内容から嫌でも「Killer7」を思わせ、あの作品の特徴であるヒロ杉山のイラストレーションから発想したという、イラストが動いているようなシェーディングを代表に血液を奪うなどのギミック、そして月といったガジェットなどが押さえられている。そもそもの「Killer is dead」というタイトル自体かつて電撃PS2で連載された「Killer7」の外伝小説のタイトルなのである。

 さらに主人公の名前が「モンド」で黒のスーツの仕事人と言えば「花と太陽と雨と」だし、その相棒の名前が「ミカ」というのは「ムーンライトシンドローム」の主人公の名前でなんでか「けいおん!」ルック。上司にあたるヴィヴィアンなんてそのまま「ノーモア・ヒーローズ」のシルヴィアのキャラクターと関係そのままで、背中から手がバーっと出るのは「ノーモア・ヒーローズ2」のアリス・トワイライトを思わせる。まあでも最近の作品でも「クサビ」とか「モリカワ」とか「シルバー事件」の主要人物の引用してるし、過去作の名称出すのはGHMブランドですよというのを示すいつものことで気にし過ぎかも知れないが本作のこれはより露骨に過去作を想起させるように仕掛けているように見える。

 アクションシーンはというとこれもまたここのところの「シャドウオブザダムド」 「ロリポップ・チェーンソー」のサードパーソンシューティング&スラッシュアクションというここ5,6年に積み上げてきたものの繰り返しになると思われ、アドベンチャーで有名な会社であるが2006年の「サムライチャンプルー」ゲーム化以降実質スラッシュアクションゲームの会社になってるんだがファンが全くそう感じてないという不思議なことになっているがその部分でも集大成的なものになりそうだ。

 本作が以上のように過去作を想起させるガジェットに溢れているゆえにどうしても「シルバー事件」「killer7」のような内容を期待してしまうのだが、それらの最良の須田剛一作品が突出してるところは現代のビデオゲームカルチャーの持っているあらゆる部分を解体しまくった上で、この現代の気配を作品に込めていたことのはずだ。

 実際「シルバー事件」にはここでも書いたように90年代の気配というのに意識的だし、「killer7」は2000年代中盤の9・11以降のアメリカとテロリズムという気配に忠実だ。須田剛一作品はぶっ壊れたシナリオだとかスタイリッシュだとかタランティーノっぽいとか評されるがそれは本質ではなく、基本的にビデオゲームはめったに映画や文学のように現代性というものに意識的であることは90年代PS時代のわずかな時期しかなかったと見え、徹底したエンターテインメントであろうとする以外の選択肢が無い。何でもそうだが現代性を本当に捉えようとする場合絶対にジャンルやエンタメのコードを越えた、解体・脱構築されたものになる。そうした中でいわゆる「須田ゲー」が見せる真の凄さとはB級とかタランティーノ的とかそんなことでなくこの現代というのがいかなる気配をまとっているのかをそうやってビデオゲームで凝縮して見せていることだとオレは思うしそれを見たくてGHM作品を遊んでいるようなものだ。

 そして「Killer is dead」が成功するために現代という気配を込めることってのが重要と仮定するに、しかしこの2012年の気配というのに一体何があるのだろう。それこそ映画や文学をはじめとしたカルチャー全体の大抵のものは3・11東日本大震災~原発事故以降の日本というものをどう描くかみたいなことに腐心してる印象があるが、どうもそれで真芯に当たるようなものを今のところ見ていない。GHMはどう描くのか?なんか原発攻撃してる初期イメージ画像とかあったけど。 それからトレーラーで妙に喧伝される「愛」。これは一体。須田剛一が、生まれてはじめて「愛」を描こうとしたのです――『愛の世紀』 こんな誰にもわからないネタはともかく、これも近作のようにスタイリッシュだが薄味なアクションということで終わるのか、それともカルチャー全体含めて未だ誰も見立てきれない311以後の現代を凝縮する特大ホームランになるのかの地獄か天国かのふり幅が大きい。

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